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令和5年度(2023年度)公立高校入試を振り返って!猪名川・川西地域編(4)川西明峰高校に明るい未来が見えないことが明確になってしまった今年度入試結果
2023-05-30
注目チェック
◎今春公立高校入試/猪名川・川西地域
令和5年(2023年)度 兵庫県第2学区の主な公立高校入試・受験状況一覧 (猪名川・川西地域)
川西緑台高校 | 川西北陵高校 | 川西明峰高校 | 猪名川高校 | ||
普通科 | 総合理数 | 普通科 | 普通科 | 普通科 | |
2023年度定員 | 240 | 40 | 240 | 280 | 160 |
前年対比増減 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
2022年度定員 | 240 | 40 | 240 | 280 | 160 |
特色・推薦選抜入試(2月15日)
総合理数 | 探求と表現 | グローバルキャリア | 教育コミュニケーション | ||
定員 | 40 | 40 | 28 | 24 | |
受験者 | 34 | 34 | 17 | 38 | |
2023年度倍率 | 0.85倍 | 0.85倍 | 0.61倍 | 1.58倍 | |
2022年度倍率 | 0.85倍 | 1.08倍 | 0.57倍 | 1.13倍 | |
合格者 | 34 | 34 | 17 | 24 |
複数志願入試(3月12日)
定員(修正後) | 240 | 206 | 263 | 136 | |
第1志望志願受験者 | 258 | 177 | 163 | 149 | |
2023年度実質倍率 | 1.08倍 | 0.86倍 | 0.62倍 | 1.10倍 | |
2022年度実質倍率 | 1.12倍 | 1.03倍 | 0.63倍 | 0.98倍 | |
第2志望志願者 | 52 | 226 | 327 | 192 | |
志願変更後第2志望志願者 | 51 | 230 | 325 | 193 | |
合格者 | 240 | 206 | 238 | 136 |
◎川西明峰高校の入試結果を振り返る!
猪名川・川西地域の今春公立高校入試について、最終回は、結果を整理した上表を参考にして、川西明峰高校の入試を振り返ります。
◎川西明峰高校・特色選抜入試の人気度は? !
2月特色選抜入試だけで決まる、明峰高校「グローバルキャリア類型」は、今春今年度の募集では、というか今年度も振るいませんでした。募集定員28人に対して17人が受検し、倍率0.61倍。受検者は全員合格。定員17人に足りない11人は3月一般入試の定員263人に加算されました。
猪名川・川西地域の今春公立高校入試について、最終回は、結果を整理した上表を参考にして、川西明峰高校の入試を振り返ります。
◎川西明峰高校・特色選抜入試の人気度は? !
2月特色選抜入試だけで決まる、明峰高校「グローバルキャリア類型」は、今春今年度の募集では、というか今年度も振るいませんでした。募集定員28人に対して17人が受検し、倍率0.61倍。受検者は全員合格。定員17人に足りない11人は3月一般入試の定員263人に加算されました。
年度 | 2023 | 2022 | 2021 | 2020 | 2019 | 2018 |
倍率 | 0.85倍 | 0.57倍 | 0.71倍 | 0.61倍 | 1.00倍 | 1.22倍 |
定員 | 28 | 28 | 28 | 28 | 28 | 32 |
◎川西明峰高校・特色選抜入試に人気無し? !
上表の過去の倍率推移をみてみると、倍率が1.0倍を上回ったのは、過去6年間のうち募集総定員が320人から現在の280人に削減される前年2018年度と削減された初年度2019年度の2回だけ。その後今年2023年度まで倍率が1.0倍を超えることはなく、長期低倍率が続いています。
◎「グローバルキャリア類型」の特色って何?
この特色類型の教育目標は、募集要項には「兵庫県立川西明峰高等学校グローバルキャリア類型では、各生徒の関心ごととSDGs(持続可能な開発目標)とを結びつけ、グローバル社会で生起する諸課題を深い人間理解と他者への共感を持って解決する、持続可能な社会の担い手を養成することを目的としています。」とあります。さて、これを読んで、惹かれるものがあるでしょうか? 昨今よく耳にする「グローバル社会」とか「SDGs」という言葉が散りばめられています。しかし、この類型で育てようとするのが「持続可能な社会の担い手」では、具体的な人材像が見えてきません。用意されている類型プログラムにも驚くような教育内容はありません。「内容がありきたり」なのが「特色」である「特色類型」と思えます。こんなに少ない定員にしても受検生が集められないのも当然でしょうか。
◎「グローバルキャリア類型」の目的外受検?
類型の定員割れが常態化すると、こんな目的外受検者が現れます。3月一般入試で合格できそうにない学力・成績層の生徒が、この類型を受検するのです。受検者定員割れであれば必ず合格できます。これを狙う受検生が多数出願すると倍率が1.0倍を超えるという、悪い冗談のような事態が発生することになります。これを考えると2018年と2019年の倍率1.0倍を上回った倍率を見る目が変わります。このブラックジョーク的事態が発生した結果なのかと疑ってしまいます。ともかく抜本的に類型を改変しない限りこの惨状は変わることはないでしょう。
◎川西明峰高校第1志望志願受検者定員割れ!
3月一般入試では、本来の定員252人に、特色類型の募集定員に足りなかった11人を加えて、修正加算された定員263人が川西明峰高校の最終募集定員となりました。これに対して161人が第1志望志願受検し、倍率は0.61倍となりました。さて、この161人の受検者だけでは絶望的なほど募集定員には人数が足りません。定員充足にはなんとあと(263人ー161人=)102人必要です。入学者が募集定員を充足しない可能性と危機がここで生じます。
◎川西明峰高校は定員割れしたが健闘?!
上表の過去の倍率推移をみてみると、倍率が1.0倍を上回ったのは、過去6年間のうち募集総定員が320人から現在の280人に削減される前年2018年度と削減された初年度2019年度の2回だけ。その後今年2023年度まで倍率が1.0倍を超えることはなく、長期低倍率が続いています。
◎「グローバルキャリア類型」の特色って何?
この特色類型の教育目標は、募集要項には「兵庫県立川西明峰高等学校グローバルキャリア類型では、各生徒の関心ごととSDGs(持続可能な開発目標)とを結びつけ、グローバル社会で生起する諸課題を深い人間理解と他者への共感を持って解決する、持続可能な社会の担い手を養成することを目的としています。」とあります。さて、これを読んで、惹かれるものがあるでしょうか? 昨今よく耳にする「グローバル社会」とか「SDGs」という言葉が散りばめられています。しかし、この類型で育てようとするのが「持続可能な社会の担い手」では、具体的な人材像が見えてきません。用意されている類型プログラムにも驚くような教育内容はありません。「内容がありきたり」なのが「特色」である「特色類型」と思えます。こんなに少ない定員にしても受検生が集められないのも当然でしょうか。
◎「グローバルキャリア類型」の目的外受検?
類型の定員割れが常態化すると、こんな目的外受検者が現れます。3月一般入試で合格できそうにない学力・成績層の生徒が、この類型を受検するのです。受検者定員割れであれば必ず合格できます。これを狙う受検生が多数出願すると倍率が1.0倍を超えるという、悪い冗談のような事態が発生することになります。これを考えると2018年と2019年の倍率1.0倍を上回った倍率を見る目が変わります。このブラックジョーク的事態が発生した結果なのかと疑ってしまいます。ともかく抜本的に類型を改変しない限りこの惨状は変わることはないでしょう。
◎川西明峰高校第1志望志願受検者定員割れ!
3月一般入試では、本来の定員252人に、特色類型の募集定員に足りなかった11人を加えて、修正加算された定員263人が川西明峰高校の最終募集定員となりました。これに対して161人が第1志望志願受検し、倍率は0.61倍となりました。さて、この161人の受検者だけでは絶望的なほど募集定員には人数が足りません。定員充足にはなんとあと(263人ー161人=)102人必要です。入学者が募集定員を充足しない可能性と危機がここで生じます。
◎川西明峰高校は定員割れしたが健闘?!
年度 | 2023 | 2022 | 2021 | 2020 | 2019 | 2018 |
倍率 | 0.61倍 | 0.63倍 | 0.79倍 | 0.81倍 | 0.95倍 | 0.83倍 |
第1志望受検者 | 161 | 166 | 205 | 212 | 239 | 240 |
募集定員 | 263 | 264 | 260 | 263 | 252 | 288 |
総定員 | 252 | 252 | 252 | 252 | 252 | 288 |
第2志望受検者 | 325 | 360 | 360 | 429 | 451 | 493 |
入学者 | 238 | 260 | 260 | 263 | 252 | 288 |
最終合格者は238人。上記の通り、第1志望志願受検者で最終募集定員に足りなかったのは102人で、それには及ばないにしても77人が第2志望志願者として合格しました。そのおかげで募集定員に(263人-238人=)25人足りないだけで済んだのです。しかし果たして、これを健闘したと呼んでいいものでしょうか。
◎川西明峰高校合格者の内実!
前回の川西北陵高校の分析で見たとおり、受検時点で第1志望志願受検者が募集定員に足りなくとも、それが最終的に即定員割れを意味するわけではありません。出願確定時点で、川西明峰高校の第2志望志願者は上表によれば325人でした。この人数の中から、足りない102人に合格を出せれば募集定員を充足できます。つまり、(1)この325人のうち223人が第1志望志願受検校に合格すれば、のこり(325人ー223人=)102人は第1志望志願受験校不合格となり、第2志望志願高・川西明峰高校で全員合格。(2)223人を超える224人以上の生徒が第1志望志願校に合格すればするほど、その人数分第2志望志願高・川西明峰高校で合格を出せる人数は、102人から減ります。この時点で募集定員割れが決定します。今年度の川西明峰高校の3月入試では(2)が起きて、最終的に第2志望志願者325人のうち第1志望志願受験校不合格者に77人の合格を出して合計238人が川西明峰高校に合格したわけです。
◎3年前まで川西明峰高校に定員割れはなかった!
さて、上表からは他にも分かることがあります。川西明峰高校の第1志望志願受検者の倍率は、今年度も含め、過去6年倍率1.0を上回ることはありませんでした。しかしながら、最終的に募集定員を充足できなかったのは今年度2023年度と昨年度2022年度だけ。それまでは4年連続で募集定員を充足しています。さて、この理由は第2志望志願者の人数から見えてきます。2018年度には500人近くいた第2志願志望者が年を経るにしたがって減り、今年度2023年度は300人余り。第1志望志願受検者で足りない合格者を第2志望志願者に合格を出して募集定員を充足させられなくなったのがこの直近2年です。この第2志望志願者減少傾向は推移を見る限り続き、来年度はさらに減る恐れがあります。
◎川西明峰高校に2志望志願者が多かった理由!
川西明峰高校の第2志望志願者が多いのは地元猪名川・川西地域の生徒に加えて、伊丹地域の中学生が第2志望志願に川西明峰高校を書いているからだと以前からいわれていました。全県5学区統合の後、場所的優位もあって、伊丹地域の4公立高校は人気を集め、他の地域からの第1志望志願受検者も多く集めるようになりました。結果、伊丹地域地元の中学生は第2志望志願に伊丹の4公立高校を書いても合格が難しい状況が生じました。そこで、伊丹から通える範囲で第2志望志願に書ける公立高校として川西明峰高校が選ばれるようになったという訳です。確かに、親しい伊丹の塾のある先生から、地元中学の先生が生徒に「明峰に行きたくないなら勉強頑張れ」と発破をかけているという話を以前に聞いたことがあります。
◎川西明峰高校の未来?!
しかし、つい先日その先生に「伊丹の生徒が第2志望志願に川西明峰高校を書かなくなってきたみたいよ」と聞きました。「じゃぁ、どこを書いているのか?」、そのときには時間が無く詳しく聞けませんでした。理由は何にせよ、数字を見ると川西明峰高校への第2志望志願者が年々減っているのは間違いありません。来年度以降、川西明峰高校の未来にはどうやら明るい要素はなさそうです。
◎川西明峰高校合格者の内実!
前回の川西北陵高校の分析で見たとおり、受検時点で第1志望志願受検者が募集定員に足りなくとも、それが最終的に即定員割れを意味するわけではありません。出願確定時点で、川西明峰高校の第2志望志願者は上表によれば325人でした。この人数の中から、足りない102人に合格を出せれば募集定員を充足できます。つまり、(1)この325人のうち223人が第1志望志願受検校に合格すれば、のこり(325人ー223人=)102人は第1志望志願受験校不合格となり、第2志望志願高・川西明峰高校で全員合格。(2)223人を超える224人以上の生徒が第1志望志願校に合格すればするほど、その人数分第2志望志願高・川西明峰高校で合格を出せる人数は、102人から減ります。この時点で募集定員割れが決定します。今年度の川西明峰高校の3月入試では(2)が起きて、最終的に第2志望志願者325人のうち第1志望志願受験校不合格者に77人の合格を出して合計238人が川西明峰高校に合格したわけです。
◎3年前まで川西明峰高校に定員割れはなかった!
さて、上表からは他にも分かることがあります。川西明峰高校の第1志望志願受検者の倍率は、今年度も含め、過去6年倍率1.0を上回ることはありませんでした。しかしながら、最終的に募集定員を充足できなかったのは今年度2023年度と昨年度2022年度だけ。それまでは4年連続で募集定員を充足しています。さて、この理由は第2志望志願者の人数から見えてきます。2018年度には500人近くいた第2志願志望者が年を経るにしたがって減り、今年度2023年度は300人余り。第1志望志願受検者で足りない合格者を第2志望志願者に合格を出して募集定員を充足させられなくなったのがこの直近2年です。この第2志望志願者減少傾向は推移を見る限り続き、来年度はさらに減る恐れがあります。
◎川西明峰高校に2志望志願者が多かった理由!
川西明峰高校の第2志望志願者が多いのは地元猪名川・川西地域の生徒に加えて、伊丹地域の中学生が第2志望志願に川西明峰高校を書いているからだと以前からいわれていました。全県5学区統合の後、場所的優位もあって、伊丹地域の4公立高校は人気を集め、他の地域からの第1志望志願受検者も多く集めるようになりました。結果、伊丹地域地元の中学生は第2志望志願に伊丹の4公立高校を書いても合格が難しい状況が生じました。そこで、伊丹から通える範囲で第2志望志願に書ける公立高校として川西明峰高校が選ばれるようになったという訳です。確かに、親しい伊丹の塾のある先生から、地元中学の先生が生徒に「明峰に行きたくないなら勉強頑張れ」と発破をかけているという話を以前に聞いたことがあります。
◎川西明峰高校の未来?!
しかし、つい先日その先生に「伊丹の生徒が第2志望志願に川西明峰高校を書かなくなってきたみたいよ」と聞きました。「じゃぁ、どこを書いているのか?」、そのときには時間が無く詳しく聞けませんでした。理由は何にせよ、数字を見ると川西明峰高校への第2志望志願者が年々減っているのは間違いありません。来年度以降、川西明峰高校の未来にはどうやら明るい要素はなさそうです。